台湾で初”スマホ通信制限”訓練 なぜ
【けさ知っておきたいNEWS】
グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
台湾で初のスマホ通信制限訓練を実施
台湾では年に1度、中国軍の侵攻を想定した大規模軍事演習「漢光」が5日から10日間にわたって行われました。
それに合わせて市民も参加する防空演習も実施され、台北市内では空襲警報のサイレンが鳴り響くと通りから一斉に人影が消え、走って避難する市民の姿が見られました。
訓練とはいえ有事への危機意識の高さが伝わってきます。
今回の避難訓練と同時に初めて実施されたのが、スマートフォンなどの通信速度を意図的に下げる訓練です。
台中市のある中部では10日、台北市のある北部では13日の午後2時30分から30分間行われました。
訓練中でも通話・緊急通報・ショートメッセージは利用できましたが、動画や音楽のストリーミング再生・ビデオ通話・一部のモバイル決済などは制限されました。
実際に朝日新聞の記者が体験したところ、YouTubeの視聴・Googleの検索・LINEのメッセージ送信もできなかったということで、台湾の人口の約73%にあたる1700万人に影響が出ました。
中国の新たな戦略
上陸より先に「疲弊」作戦
なぜこのような訓練が必要なのか。
中国情勢に詳しい専門家は、その背景を説明します。
かつて台湾では「中国は統一を目指す際に直接上陸してくるだろう」という認識が一般的でした。
しかし近年では見方が変わってきています。
中国はまず物流を遮断し、さらに海底ケーブルを切断して通信を遮断することで台湾市民を徐々に疲弊させる戦略をとると考えられています。
市民が「もう中国の要求を受け入れた方がいいのではないか」と考え始めたタイミングで手を差し伸べ、統一を実現するというシナリオです。
専門家もこの見方は現実的だと指摘しています。
台湾の国防系シンクタンクも「敵対勢力は通信遮断で社会にパニックを引き起こし、抵抗する意思を低下させようとする可能性がある」と警告しています。
今回の通信制限訓練はまさにこうした事態への対応力を高めることが目的だったわけです。
今後は停電対応も
訓練の強度を上げていく方針
避難場所の一つである台北駅の地下では、座り込んで待つ人やトランプゲームに興じる人の姿も見られ、今回が初めての訓練ということもあって市民の行動はまちまちでした。
しかし混乱を実際に体験することで非常時の行動を具体的にイメージすることが重要だと専門家は指摘します。
今後は通信制限の時間をさらに長くしたり、停電への対応を訓練に取り入れたりすることで、訓練の強度を上げていく必要があるという方針が示されています。
中国による「疲弊作戦」に備えるための台湾の取り組みは、今後ますます本格化していきそうです。
NEWS解説
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