なぜラオス? 中国が東南アジアに軍事拠点か
【けさ知っておきたいNEWS】
テレビ朝日グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
中国が東南アジアで軍事的な存在感を強めています。
中国国防省は、ラオスで建設中のバンクン空港に、中国軍とラオス軍が共同運営する「合同支援訓練センター」を設立し、先週から運用を始めたと発表しました。
中国側は、ラオス空軍のパイロット養成が目的であり、第三国を標的にしたものではないと説明しています。
ただ、安全保障の専門家からは、将来的に中国軍の国外拠点として使われる可能性があるとの指摘も出ています。
ラオスは日本とも関係が深い国
ラオスは中国と国境を接する、東南アジア唯一の内陸国です。
日本との関係も深く、昨年には国交樹立70周年を迎えました。
去年11月には愛子さまが初めての海外公務として訪問したことも話題となりました。
一方、中国との関係も非常に深い国です。
中国とラオスはいずれも社会主義国で、一党支配体制が続いています。
1979年の中越戦争では、ラオスがベトナム側を支持したため中国との関係が悪化しましたが、その後は関係を修復。
近年は経済面を中心に急速に結びつきを強めています。
中国ラオス鉄道で経済関係を強化
代表的なのが、中国とラオスを結ぶ中国ラオス鉄道です。
全長は1000㎞を超え、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の主要事業の一つです。
総事業費の約7割を中国側が負担し、3年前から直通運行が始まりました。
こうした経済協力に加え、近年は軍事面での関係も深まっています。
中国軍とラオス軍はラオス国内で合同軍事演習を行うなど、防衛協力を強化してきました。
衛星画像に攻撃機と支援車両
今回注目されているのが、合同支援訓練センターが設けられたバンクン空港です。
衛星画像を分析した報道によると、1年前には緑地だった場所に現在は大規模な滑走路や複数の建物が建設されています。
さらに安全保障の専門家によると、現地では少なくとも攻撃機8機と20台以上の支援車両が確認されたといいます。
中国側はパイロット養成施設だと説明していますが、攻撃機などが確認されていることから、「訓練施設だけなのか」という疑念も出ています。
カンボジアでも中国の存在感
中国が軍事協力を強めているのはラオスだけではありません。
ラオスの南に位置するカンボジアでも、中国はリアム海軍基地の拡張工事を支援してきました。
この基地についても、中国軍が利用できる軍事拠点になるのではないかとの懸念があります。
中国が東南アジア各地で港湾、鉄道、軍事施設への関与を強めている背景には、安全保障上の重要な問題があります。
中国が恐れる「マラッカ・ジレンマ」
インド地域の安全保障に詳しいハドソン研究所/東京国際大学の長尾賢 准教授によると、中国が東南アジアとの関係を強化する大きな理由の一つが「マラッカ海峡」です。
中国が輸入する原油の約8割がマラッカ海峡を通過するとされています。
この海峡はマレーシア、シンガポール、インドネシアに囲まれています。
3カ国とも全方位外交を進めていますが、アメリカとも防衛協力を行っています。
そのため中国は、台湾有事などの際にアメリカがマラッカ海峡を封鎖すれば、エネルギー輸送に大きな打撃を受けると警戒しています。
この弱点は「マラッカ・ジレンマ」とも呼ばれています。
ラオスが陸上物流の重要拠点に
そこで中国が進めているのが、海上輸送だけに頼らない物流網の構築です。
ラオスや周辺国に港湾や鉄道などを整備し、万が一マラッカ海峡が使えなくなった場合でも、陸路で中国へ物資を運べるルートを確保しようとしているとみられます。
その中心的な位置にあるのがラオスです。
中国ラオス鉄道に加え、軍事施設の整備まで進めば、ラオスの地政学的な重要性はさらに高まります。
きょうのNEWS解説まとめ
中国とラオスが共同運営する合同支援訓練センターは、表向きはパイロット養成施設とされています。
しかし、攻撃機などが確認されたことで、中国軍の国外拠点になる可能性も指摘されています。
中国が東南アジアで軍事・経済両面の関係を強める背景には、マラッカ海峡を封鎖されるリスクへの強い警戒があります。
ラオスは日本とも関係が深い国ですが、中国との結びつきも急速に強まっています。
東南アジアにおける中国の軍事的な存在感が今後どこまで拡大するのか、注目が集まりそうです。
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