中国 国防動員法改正
日本企業への影響は?
【けさ知っておきたいNEWS】
テレビ朝日グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
中国で「国防動員法」が改正され、一昨日施行されました。
国防動員法は、国の安全が脅かされた際に、国民や民間企業の設備、インフラ、物資などを軍事目的に活用できるようにする法律です。
2010年に制定されましたが、今回が初めての大きな改正となりました。
中国情勢に詳しいキャノングローバル戦略研究所の峯村健司さんは、今回の改正について、台湾有事を強く意識した内容で、中国政府の本気度がうかがえると分析しています。
中国で事業を行う日本企業にも影響が及ぶ可能性があります。
「徴用」に加えて
強制的な取り上げも可能に
今回の改正で大きく変わったのが、有事の際に民間の資源をどこまで利用できるかという点です。
これまでは、民間企業の車両や設備などを一時的に借り上げる「徴用」が中心でした。
しかし改正後は、徴用に加えて、必要な資産を強制的に取り上げることもできる内容が加わったとされています。
対象は中国国内のさまざまな組織や個人で、中国に進出している日系企業などの外資系企業も含まれる可能性があります。
例えば、日本の自動車メーカーが中国国内で保有している車両や工場設備が、有事の際に軍事輸送などへ使われる可能性も考えられます。
日本国内の企業にも影響する可能性
影響を受けるのは、中国に工場や拠点を持つ企業だけとは限りません。
日本国内で事業を行っていても、中国から部品や原材料を調達している企業の場合、中国国内で資源が軍事用途へ優先的に回されれば、部品の供給が止まる可能性があります。
そのため、日本企業には中国国内の資産管理だけでなく、サプライチェーン全体を見直す必要も出てきます。
中国への依存度が高い部品や原材料について、調達先を複数の国に分散させるなど、有事を想定した対応がより重要になりそうです。
AIやドローン ロボットも軍事利用へ
今回の改正では、「先端技術の応用を促進する」という内容も新たに盛り込まれました。
中国は、ドローンやAI、人型ロボットなどの分野で高い技術力を持っています。
例えばドローンでは世界市場で大きなシェアを持ち、人型ロボットについても研究開発が急速に進んでいます。
こうした技術は本来、物流、介護、製造、災害対応など、生活を便利にする目的で開発されています。
しかし国防動員法の下では、有事になれば軍事利用される可能性があります。
民間企業が開発したAIやロボット、ドローンなどが、輸送、偵察、戦闘支援などに使われることも想定されます。
中国政府
「他国の制度と本質的な違いはない」
中国国防省は今回の改正について、「多くの国が制定している国防動員関連の法律と本質的な違いはない」と説明しています。
確かにアメリカなどにも、国家緊急時に政府の権限を強め、企業に生産などを求める制度があります。
一方、キャノングローバル戦略研究所の峯村さんは、中国の場合、有事に必要な動員を一つの法律で幅広く扱える点が特徴だと指摘しています。政府の政治判断によって、企業や個人の資源、先端技術まで一体的に動員できる仕組みは珍しいとしています。
台湾有事と長期戦を想定か
今回の法改正の背景として、最も注目されるのが台湾有事です。
台湾をめぐって軍事衝突が起きれば、中国はアメリカや日本、ヨーロッパなどから大規模な経済制裁を受ける可能性があります。
そのような状況でも戦闘や経済活動を長期間継続できるよう、国内にある人、物資、企業、技術を総動員する体制を整えているのではないかとみられています。
きょうのNEWS解説まとめ
中国の改正国防動員法では、有事の際に民間企業の設備や資産をこれまで以上に強く動員できる仕組みが盛り込まれました。
さらにAI、ドローン、ロボットなどの先端技術についても、軍事利用につなげることが想定されています。
中国に進出している日本企業にとっては、資産が動員されるリスクだけでなく、中国からの部品や原材料の供給が止まる可能性にも備える必要があります。
今回の改正によって、中国で事業を行う企業にとってのリスクはこれまでとは違う段階に入る可能性があります。
台湾情勢を含め、日本企業はサプライチェーンや中国事業のあり方を改めて検討する必要がありそうです。
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